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2009-08-29 Sat 22:46
ロケが終わって久々に帰ったマンション。
疲れきった身体は早く休みたくてしかたなかった。 ベッドに直行して少しすれば足音がした。 あぁ、いたんだ…そう思ったけど、よくよく考えれば 鍵を使って部屋に入ってないんだから居て当然、か。 部屋中に漂ってきた甘い匂い。 あいつが何を持ってきたのかはわかんねぇけど、 俺が好むものではないのは確かだな。 人の食生活心配する前に自分の食生活をどうにかしろよ。 疲れた疲れてないの押し問答のあと、 あいつが持ってきた甘い匂いのするマグカップに手を伸ばすも 渡されることはなかった。 あいつがマグカップを持って部屋から出て行ったあと、自然と煙草に手が伸びた。 最近飯の代わりにすぐ煙草を吸ってる気がする。 たぶん今日もあいつは俺が寝るまで…いや、寝ても部屋には戻ってこないんだろうな……。 |
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2009-06-20 Sat 22:56
風呂から上がってすぐにベッドに直行する。
最近はそんな生活が多くなってきた。 今日もいつもと同じようにしていれば、あいつが部屋に入ってきた。 ベッドに腰掛け、頭を撫でてくる。 他にもあいつが俺とコミュニケーションをとろうとしてくる。 でも、俺はそんな気になれない……。 仕事を理由に部屋から出た。 少し距離を取ることでしかあいつを守れない。 いや、違うな…自分を保てない。 特に他のやつが絡んでくると……。 持ち帰ったアンケートを書きながらぼんやりと考える。 ───現在好きな人はいますか? そう書かれた最後の質問。 書けるわけねぇよな。 「結婚」なんて言葉であいつを縛ってるだけで…。 結局俺たちには何の繋がりもない。 俺じゃまともな家族になんかなれない…。 気づけば部屋の外にあいつが立っていた。 そして口にするのは謝罪の言葉。 わかってやれなくて…理解してやれなくて、ごめん…と。 あいつが出て行くと口にする。 ………だったら出て行くのは俺だろう。 結局、俺はいつだってこいつを追い詰めることしか出来ないんだよな。 「もう、………―――俺なんか必要ないんだろ。 ………だったら、最初から期待させるなよ…。 ……そんな風に簡単に捨てるくらいなら、口になんかされたくなかった。」 ………簡単、ね。 そんな簡単な気持ちでプロポーズなんか出来るかよ。 人ひとりの人生背負おうなんて… 覚悟がなきゃできねぇよ…。 結局、そんなもんって思ってたのはそっちだろ。 「………………―――顔も見たくなかったら、触れたいのに触れられない、なんて理由で拗ねるわけないだろ…」 あぁ、そういうことか… 欲求不満だったんだ…。 別にセックスだけじゃない。 そういえば触れたがりな性格だったな…。 あいつをベッドに運んでやる。 どうやったって俺たちは交わらないんだな。 どれだけ一緒にいても…。 |
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2009-05-29 Fri 22:55
確かに不純といえば不純な動機だと思う。
姉に脅され、妹に強請られたから… そんな軽いキモチではじめたことだ。 でも、仕事中には多少のプロ意識はもっていたつもりだ。 スタジオ内に響くシャッターの音。 聞きなれたそれは特に気にならない、例え受験勉強中であっても…。 まぁ、そもそも勉強してたってあんまり身についてないんだけどさ。 普段と何の変わりもないスタジオ内、でも俺の視線はノートから外れていた。 「ねぇ、あいつ誰?」 「んっ、どうした? ────あっ、マキか。ゆりさんの弟だか甥っ子だか、とにかく身内みたいだぞ。 いいよな、身内にスゴイ人がいたらそれだけで優遇されるんだから、 しかもあいつ事務所には所属してなくてフリーだってさ。 たいしたことないくせに生意気だよな。」 それより、ココ教えろと一緒に教科書を広げていたモデル仲間の浩介が声をかけてくる。 明日提出の課題があるとかでスタジオに持ち込んで待ち時間に必死にペンを走らせていた。 俺は当然のように受験勉強の真っ最中。 余所見をしている余裕なんかないはずなのに…。 一見して目立つ明るい髪の少年。肩にかかるかどうかの長さは余計に目を引く。 別に特別カッコイイとかキレイとかっていうわけじゃない。 常にどこか遠くを見ているような…少し寂しそうな表情。 その瞳がほんの一瞬、強く───射抜いてくる。 そう、一言でいうなら目が離せない。 ───誰だ、あいつ。 「なおちゃん、おつかれさま。 休憩していいわよ。」 「へーい。 おつかれさまでした。」 耳に届いた棒読みの声。 高いというよりは、単によく通る声だと思う。 撮影が終わった瞬間、やる気のなさそうな、いや…無表情だ。 すっと立ち上がったのを見ると小さい。 モデルとしてじゃなく、一般的に見ても高い部類じゃない。 170あるかないか、そんな感じだ。 子どものときからモデルをやってるとか…? やけに慣れた感じがする。 場慣れしてるっていうか、雰囲気がこのスタジオに馴染んでる。 いつもなら気になったやつがいたら簡単に話しかけに行くのに… 人を寄せ付けないような雰囲気で、近づきにくい。 何でだろう…近づくなってそういわれてる気分になってくる。 撮影が終わったらしい目立つ髪色のあいつ。 彼がこっちに近づいてくる。 よくよく考えれば、時間待ちしてる休憩場所に俺たちがいるだけなんだけど。 さっきまで話していた浩介がやたらと少年のことを睨んでる。 俺でもわかるくらい敵意むき出しの表情。 別にこの業界じゃそういうことは珍しくない。 仕事に関しては取った取られたなんか日常茶飯事だし、油断してるとすぐに下に追いやられる。 所詮人気商売だ。 使えなくなったらポイっと捨てられる。 だから俺たちは普段から気が抜けない。 一つ一つ、どの仕事も大事なんだ。 「いいよな、コネで入ったやつは。 大した実力もないくせに、一人前って面して撮ってもらえるんだから。」 課題に向いていたはずの顔があげられ、戻ってきた明るい色の髪をした少年に話しかける。 いや、ケンカを吹っかけてる。 「こーすけ、やめろよ…。 ごめんな、こいつ今課題でイライラしてんだよ。」 俺はよく人好きすると言われる笑みを浮かべながら、浩介の言葉に表情を一つ変えない少年に声をかけた。 でも、浩介がケンカを吹っかけても俺が笑みを浮かべて場を取りなさそうとしても相手は何の反応も示さない。 何で表情が変わらないんだろう……。 「何とか言ったらどうなんだよ! それとも言えないか。」 隣にいた浩介はさらに相手をたきつけるように言葉を口にしていく。 それでもやっぱり相手の顔は変わらない。 「お前高校中退なんだって? 今時高校もまともに卒業できないなんてどんだけバカなんだよ。 あぁ、バカだから卑怯な手使うことしかできないんだろ。」 もうここまで来るとイライラしてるなんていう言い訳じゃ、この場を穏便に収めようなんてことは無理だ。 浩介のやつ何でこんなにつっかかるんだよ。 明るいオレンジ色の髪の少年の瞳は一応俺たちに向いてたけどさして興味がなさそう、そんな雰囲気だった。 たぶんそれがますます浩介を怒らせてる要因だとも思えるけど。 何も言い返さない相手を見ていたらほんの少し目を伏せたあと、ゆっくりと口を開いた。 「問3はケアレスミス。 それと、あんたのは公式から間違ってるからそのままじゃ一生答え出ないよ。」 ポツリ、と俺の書き殴ったようなノートを指差しながら一言口にした。 そしてすぐに視線だけは浩介に向けて…。 一瞬何を言われてるかわかんなかった。 だってこの場合言い返すんじゃないの? ハっとして開きっぱなしのノートに視線を落とせば先ほど解いたばかりの問3の問題が目に入った。 ケアレスミスって俺のだよな? でも、いつの間に…この短時間で問題を解いた? それとも見ただけで… そのまま浩介の方を見るとますます敵意を持ったのが丸わかりな表情だ。 浩介に目を取られている間に少年は此方に背を向けて壁際においてある椅子に腰掛けた。 なんだ、こいつ……… MaKi 男 17歳 高校中退 170cmくらい クールなチビッ子 いまのところ友達なし 俺が知った情報はこれだけだった─── |
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2009-05-29 Fri 21:48
夜、歩いてる途中になんかすっげー月が綺麗だった。
三日月っていうのかな、うん…たぶんそう。 で、空に向かって手を伸ばしていれば後ろから男の人の声がした。 「…………月には、うさぎが住んでるらしいよ。掴まえてみる気か?」 ウサギか…うちマンションだからペット飼ったら怒られるんだよなぁ。 そう思って言葉を返したらなぜか驚かれた。 あれ、俺って何か変なこと言ったかな…。 男の人が俺のこと知ってるみたいに口にするから俺も少しは有名になったかな、と思ったけど… どうやら違ったらしい。 「…………藤堂さんに逢いに?」 そう聞かれた。 藤堂さんって…あの藤堂さんだよなぁ…。 「………でも、逢いにきたんじゃないなら良かった。キミをガッカリさせるところだった。」 そうおにーさんが言った。 マキに会いに来たんだけど…そっか、藤堂さんが住んでたのもこのあたりだっけか。 そういえばココやけにスゴそうなマンションとか一軒家ばかりだ。 もう遅いしやっぱり家とかわかんなきゃ会うのは無理かな。 おにーさんが帰っていくときに俺の頭を撫でた。 ………あっ、けだまを連れてた変態さん、だ。 そう思わず口にすれば「ハルキ」だって。 結構小さい声だったはずなのに聞こえちゃったらしい。 やべぇ…。 藤堂さんが怒るのは…えーっと、何だっけか… 気に入ってる、ってことらしい。 何でそうなっちゃうのかよくわかんないけど。 でも、ハルキさんは藤堂さんのことよく知ってそうな口ぶりだった。 一個だけ不思議だったのはこの人すっげー触ってくる。 ……………触りたがりな人なのかな…。 |
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2009-05-16 Sat 23:35
何をしてもイラつく。
どうしようもない気持ちがずっと腹の中で渦巻いてる。 ようやくうっとおしい仕事が終わり、マンションへと帰った。 部屋の中についた明かり、それを眺めるもまっすぐキッチンへと足を向ける。 冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを飲んでいればあいつが来た。 普段なら気にしないような戯れの言葉。 それも今の俺にはどこか勘に障る。 それと同時にあいつを追い詰めたくなる。 話に嫌気がさしてか、あいつが途中で寝室へと足を向けた。 少しあとに寝室へと足を向ければ、ベッドの上で布団に包まるようにして寝ているあいつの姿があった。 ご丁寧に半分以上俺のスペースを空けるようにして…。 そしてベッドに寝転べば「……………―――ごめんな。おやすみ。」と囁くような声が聞こえてきた。 ………あんたが悪いんじゃないのに、な。 何も言わないままでいればあいつが口を開いてきた。 まるで何もなかったことにするかのように…。 こういうところは昔と変わらない。 「……眠れるまで話でもしようか。」と。 あいつの言葉にいちいち噛み付く俺もらしくない…。 けどなぜか今日はいつも以上にあいつに絡んでる。 ぐちゃぐちゃに泣かせて傷つけて一生消えない傷を刻んでやりたい…。 そんな衝動に駆られる。 部屋を出てリビングで煙草を吸いながらそんなことを考える。 ゆっくりと一服していればあいつが「………煙草買ってくるけど、お前何かいるものある?」と。 そして鼻腔を掠めるあの匂い…。 その一言で俺の中の何かがキレた。 何でこうもあんたは俺の神経を逆撫でるようなことばっかりするんだよ。 あいつを無理やり浴室へと連れて行けばそこでシャワーの湯を浴びせる。 ………あのバカのことは嫌がって他の野郎の匂いは自分から身に纏うわけだ…胸クソ悪ぃ…… 浴室に濡れたあいつを残して寝室へと向かえばそこにハッキリと残ったあの煙草の匂い。 それが嫌ですぐにリビングへと戻った。 リビングであるだけの煙草を吸いきったあと未だに物音のすることのないバスルーム。 いくらあいつが長風呂だからっておかしい…。 そう思いバスルームへと足を向ければそこには濡れたままの服を着て冷え切った身体のあいつが横たわっていた……。 …………何、やってんだろうな俺…… |